■LED工作の基礎知識

上の写真は電池2本(1.2V*2=2.4V)で定格電圧が2.4-3.2VのLEDを点灯させているところです。 もし電池を3本(3.6V)にした場合はどうなるでしょうか? そうするとLEDの定格電圧(2.4-3.2V)を超えた電圧が掛かかることになり、また電流も過多になるのでLEDが焼けてしまいます。 次に電池2本でLED2個(直列)は点灯できるでしょうか? 残念ながらLEDの定格電圧(2.4V*2=4.8V)にたいし電池の電圧が2.4Vですから点灯させることができません。 このとおり電池とLEDを直結して点灯する方法は無理があります。 以下、このページではLEDを点灯させる3つの方法についてご紹介したいと思います。


■LEDに流す電流を抵抗で制御して点灯する方法

電源電圧が一定の場合は問題ないのですが、 自動車のバッテリーのように電源電圧が変動する場合は、 流れる電流も変動してしまうため、 LEDの明るさが不安定になる欠点がありますが、安価で簡単にLEDを点灯させることができます。

上の写真、左の回路の電圧は14.4V、右の回路の電圧は11.0V。
右側は電圧が低い分、流れる電流も少ないので暗いです。
また電圧を掛け過ぎると電流が流れ過ぎてLEDが焼損してしまうので注意が必要です。

抵抗制御によるLEDの点灯回路例

電源とLEDの間に抵抗があるのはLEDには図の白色LEDの仕様例のように定格電流(IF)があり、 それに合わせて流す電流を制御する必要があるからです。
ではその抵抗の値はどう計算すればよいのでしょうか?
それは以下のとおりとなります。

■計算式

計算式

●計算例1

実際に例をあげて計算してみます。

計算例1

電源電圧が6V、LEDの定格電圧が3V、定格電流が20mAの場合、(6V-3V)÷0.02A=150Ωとなります。

※ 1A=1000mA、つまり20mAは0.02Aとなります。

また、抵抗は熱を発するわけですが、その電力は電圧(電源電圧-LEDの定格電圧)×電流で求められ、この場合だと(6V-3V)×0.02A=0.06Wとなります。
なお抵抗の定格電力表示は1/8Wや1/4Wと1W以下の場合は分数で表し、それぞれ0.125W、0.25Wということになります。

※ 抵抗のW数の選択は安全マージンを考慮し、理論値(計算上)の2倍、上の例では0.06W×2=0.12W以上を選ぶとよいと思います。

以上、この例ではLEDに20mA流すには抵抗は150Ω 1/8Wでよいということになります。


●計算例2

実際に例をあげて計算してみます。

計算例2

電源電圧が14.4V、LEDの定格電圧が3V、定格電流が20mAのLEDを直列に3個つないだ場合、(14.4V-9V)÷0.02A=270Ωとなります。

※ 1A=1000mA、つまり20mAは0.02Aとなります。

また、抵抗は熱を発するわけですが、その電力は電圧(電源電圧-LEDの定格電圧)×電流で求められ、この場合だと(14.4V-9V)×0.02A=0.108Wとなります。
なお抵抗の定格電力表示は1/8Wや1/4Wと1W以下の場合は分数で表し、それぞれ0.125W、0.25Wということになります。

※ 抵抗のW数の選択は安全マージンを考慮し、理論値(計算上)の2倍、上の例では0.108W×2=0.216W以上を選ぶとよいと思います。

以上、この例ではLEDに20mA流すには抵抗は270Ω 1/4Wでよいということになります。


■LEDに流す電流を定電流ダイオード(CRD)で制御して点灯する方法

定電流ダイオードは微妙な電流値の設定が困難ですが、その最高使用電圧の範囲内であれば電圧の変動に影響されず一定の電流を流すことができるので、 電源が自動車やバイクのバッテリーなど電圧の変化が激しくてもLEDを一定の明るさで点灯したい場合に適しています。

上の写真、左は14.4V、右は12.0V。写真では明るさに違いがあるように見えますが実際には明るさは同じです。
また定電流ダイオードの最高使用電圧の範囲内であれば流れる電流は一定なのでLEDが焼損する心配はありません。

定電流ダイオード(CRD)制御によるLEDの点灯回路例 主な定電流ダイオードの規格

図の回路を例に定電流ダイオードをE-153とすると、 電源電圧の変動にかかわらず、LEDには一定に15mAが流れます。
なお、LEDを直列につなげられる数は以下のとおりとなります。

■計算式

計算式

●計算例1

実際に例をあげて計算してみます。

計算例1

電源電圧が14.4V、定電流ダイオードはE-153、LEDの定格電圧が3Vの場合、 定電流ダイオード(E-153)の駆動電圧は4.3Vなので、 (14.4V-4.3V)÷3V=3.36、つまり3個までつなぐことができます。


●定電流ダイオードの並列接続

定電流ダイオード(CRD)の並列接続

LEDに20mA流したい場合は、定電流ダイオード(E-103)を並列に2個つなぐと10mA+10mAで20mAを流すことができます。 同様に45mA流したい場合は、定電流ダイオード(E-153)を並列に3個つなぐと15mA+15mA+15mAで45mAを流すことができます。


■LEDに流す電流をLM317LZと抵抗で制御して点灯する方法

電源電圧の変化に影響されず抵抗の値を変えることによって自由に電流の値を設定でき、また一定の電流を流すことができるので、 流す電流を微妙に設定したい場合、 且つ電源が自動車やバイクのバッテリーなど電圧の変化が激しくてもLEDを一定の明るさで点灯したい場合に適しています。

上の写真、左は14.4V、右は11.5V。LM317LZは40Vまで電圧をかけられ、その範囲内であれば一定に電流を制御できるのでLEDが焼損する心配はありません。

LM317LZと抵抗で電流を制御する場合のLEDの回路例

図の回路を例にすると電源電圧の変動にかかわらず抵抗の値を変えることにより、LEDに一定の電流を流すことができます。
ではその抵抗の値はどう計算すればよいのでしょうか?
それは以下のとおりとなります。

■計算式

計算式

また、LEDを直列につなげられる数は以下のとおりとなります。

計算式

●計算例1

実際に例をあげて計算してみます。

計算例1

電源電圧が14.4V、LEDの定格電圧が2.4V、定格電流が50mAの場合、1.25V÷0.05A=25Ωとなります。

※ 1A=1000mA、つまり50mAは0.05Aとなります。

また、抵抗は熱を発するわけですが、その電力は1.25V×電流で求められ、この場合だと1.25V×0.05A=0.063Wとなります。
なお抵抗の定格電力表示は1/8Wや1/4Wと1W以下の場合は分数で表し、それぞれ0.125W、0.25Wということになります。

※ 抵抗のW数の選択は安全マージンを考慮し、理論値(計算上)の2倍、上の例では0.063W×2=0.126W以上を選ぶとよいと思います。

以上、この例ではLEDに50mA流すには抵抗は25Ω 1/2W(1/4Wでも可)でよいということになります。 ※実際には25ΩはE24系列(規格)にない値なので、27Ωか24Ωを選択することになります。(合成して25Ωにすることもできますが・・・)
なお、LEDの接続数は(14.4V-2.2V)÷2.4V=5.08つまり5個までつなぐことができます。


■電源について

電源について

図の回路を例に保護ダイオードは(1N4007:0.6V)、定電流ダイオードは(E-153:4.3V)、LEDは(2.4V×3=7.2V)とすると合計が12.1Vとなり、 この値が最低駆動電圧となります。
また各列の消費電流の合計は45mAとなりこの値が最低駆動電流となります。
以上、この回路を駆動させるには12.1V以上の電圧で45mA以上の容量の電源が必要ということになります。